【私の履歴書#12】税理士試験編〜1科目合格で税理士になった話〜

私の履歴書

 こんにちは、navilisの徳山です。
 前回は、税理士法人での実務の話を
 書きました。
 今回は、税理士試験の話です。

 私は税理士ですが、
 実際に受験したのは1科目だけでした。


■ 5科目のうち、4科目は免除だった

 税理士試験は5科目です。
 会計2科目(簿記論・財務諸表論)と、
 税法3科目。

 1科目ずつ受けられて、
 一度受かった科目は生涯有効です。
 だから何年もかけて
 少しずつ積み上げる人が多い。
 働きながらなら、
 5年、10年かかることも
 珍しくありません。

 私の場合、税法3科目は免除でした。
 税務官職に10年いたからです。
 税務署や国税局で一定期間働くと、
 税法科目の免除を受けられる
 制度があります。
 実務で扱ってきたことを、
 あらためて試験で確かめる
 必要はないだろう、
 という考え方です。

 正直に言えば、
 自力で受けていたら受かっていません。

 会計も、1科目は大学院で
 免除を取りました。

 だから、実際に受けたのは簿記論だけ。

 5科目のうち4科目が免除というのは、
 かなり稀有な事例だと思います。


■ 落ちるところから、始まった

 順調に聞こえるかもしれませんが、
 始まりは不合格でした。

 転職直前のタイミングで、
 簿記論と財務諸表論を受けて、
 落ちました。

 会計は、
 まったくの畑違いではありません。
 専科研修でも学びましたし、
 国税に入る前から
 簿記の試験は受けていました。

 それでも、歯が立たなかった。
 もちろん独学だったこともあります。

 正直、試験のレベルが高すぎた。
 受かる気もしませんでした。

 働きながら受けるには、
 自分のレベルと合っていませんでした。


■ 免除特化型ではなく、MBAを選んだ

 転職後、税理士法人の代表から
 助言をもらいました。
 大学院に行って、免除を取る道です。

 仕組みを説明させてください。
 大学院の免除は、
 会計2科目のうち1科目に合格すれば、
 もう1科目が免除になるというものです。
 つまり、簿記論か財務諸表論か、
 どちらか1科目を取ればいい。

 提案されたのは2つ。
 大原大学院大学と、立教のMBAでした。

 大原は、税理士試験の免除に
 特化した大学院です。
 目的から考えれば、
 合理的な選択でした。

 でも、それなら
 自分で勉強していればいいと思った。
 免除のためだけに通う意味を、
 感じられなかったんです。

 一方で、MBAにはわくわくしました。
 試験のための2年ではなく、
 経営そのものを学ぶ2年になる。
 同じ2年を使うなら、
 そちらの方がいい。

 (この話は、次回に詳しく書きます。)

 このときはまだ、
 MBAに通いながら
 2科目とも受かればいい、
 くらいに思っていました。
 免除を使わずに済むなら、
 その方がいいと。


■ もう一度、両方落ちた

 転職後1年目、また両方落ちました。

 言い訳のしようがない、勉強不足です。

 点数は、簿記論が10点足りず、
 財務諸表論は2点足りませんでした。

 転職後2年目は、
 大学院の修了と重なります。
 論文審査だけに集中したかった。
 2年で資格を取るという約束も
 ありました。

 つまり、次が最後です。

 どうするか。
 周りの意見は、はっきりしていました。

 「そもそも、もう1年あるのだから
 絞るべきではない」
 「2科目とも受かれば、
 免除を待たずに、その時点で登録できる」
 「2科目狙っていた方が、
 1科目受かる可能性も高いはずだ」
 「絞るとしたら、財表だろう」

 予備校の講師にも、上司にも、
 そう言われました。

 大学院の免除は、
 修了して学位を取らなければ
 使えません。
 つまり論文審査に落ちれば、
 免除そのものが飛びます。
 2科目とも受かっていれば、
 その保険が要らなくなる。

 どれも、もっともな意見です。
 2点差ですし、
 道は広く残しておいた方がいいに
 決まっている。

 迷いました。

 簿記論と財務諸表論は、
 5科目の中では比較的やさしいと
 言われる科目です。
 しかも職場は、資格を最優先にして
 時間を作ってくれていました。

 その2科目すら受からないのか。
 しかも、1科目に絞らないと
 いけないのか。


■ 2点を捨てて、10点を選んだ

 それでも、簿記論に絞りました。

 理由は、ふたつあります。

 ひとつは、前の年の結果です。

 2科目狙った方が、
 最低でも1科目は受かる
 可能性が高い。
 理屈としては、そのとおりだと
 思います。
 でも私は現に、
 2科目狙って両方落ちている。

 分散させて届くなら、
 去年届いていたはずでした。

 もうひとつは、点数の出方です。

 財務諸表論は、暗記が多い。
 そもそも得意ではありません。
 その年は、いろいろうまくいって
 2点差でした。
 自分の上限を叩いた結果です。

 簿記論は、仕組みを覚える
 必要はありますが、大半は計算です。
 数字で答えを出す。
 こちらの方が、手応えがありました。
 しかもその年は、
 失敗して10点差だった。

 同じ「あと少し」でも、中身が違う。

 自分の感覚を信じました。

 そこからの1年は、簿記論だけでした。

 勉強方法も、毎年変えています。
 1回目は独学。
 2回目はスタディングの通信に、
 直前だけ大原。
 3回目はTACの経験者コースに、
 スタディングを重ねました。

 勉強していたのは、
 平日の朝と昼休み、そして日曜日です。
 土曜は大学院があったので、
 あまりやれていません。
 場所は、大学の自習スペースを
 使うことが多かった。

 財表を捨てたぶん、
 時間には余裕ができました。
 とはいえ、それでも
 ギリギリ足りないくらいでしたが。

 #2で「取れる点数を計算する」
 という話を書きました。
 でもこのレベルの試験では、
 そんな計算はできませんでした。

 やっていたのは、模試や予想問題で、
 自分が勝負できるラインにいるかを
 測ることだけです。

 最後まで、ボーダーでした。


■ 正攻法だけが正しい道ではない

 結果、簿記論に受かりました。
 ギリギリでしたが。

 論文審査も通り、
 大学院も修了しました。
 免除が使えたのは、そのおかげです。

 振り返ると、
 私は勉強だけで勝負していません。

 10年勤めたことで
 税法3科目が免除になり、
 大学院で会計1科目を免除にして、
 残った1科目に絞った。
 やったことは、それだけです。

 勉強の得意な人は、
 5科目を実力で取ります。
 私には、できませんでした。

 でも、方法は選べる。

 どこを免除にできるか。
 何を捨てるか。
 どの科目なら、
 自分の得意が生きるか。
 考えていたのは、
 そういうことばかりです。

 目標に届く道は、ひとつではありません。
 自分の得意が生きる形に組み替えれば、
 届くこともある。

 少なくとも私は、
 そうやって届きました。


 次回は、高卒のまま
 大学院に行った話を書きます。


navilis 代表 徳山侑紀

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