【私の履歴書#8】公務員編⑥〜約束を反故にされた日、私は辞めることを決めた〜

私の履歴書

 こんにちは、navilisの徳山です。

 前回は、行きたくなかった財務省主税局で、
 評価されてしまった話を書きました。

 今回は、その財務省を去る決断の話です。
 これが、公務員編の最終回になります。


■ 最初の面談で、約束をした

 財務省に着任してすぐ、
 上司との面談がありました。

 私はそこで、正直に話しました。

「私は希望もしていなかったし、
 たぶん向いていない。
 でも、1年間は頑張ります。
 それで合わないときは、
 きちんと返してほしい。」

 向いていないことはわかっていた。
 でも、約束を取り付ければ、
 1年後に戻れると思っていました。

 上司はその場で了承してくれました。
 「わかった」と。
 私はその言葉を、信じていました。


■ 約束を反故にされた

 半年ほど経ったころ、
 異動希望を聞かれました。

 「帰りたいです。」

 即答でした。

 返ってきた言葉は、
 「評価したから難しい」でした。

 それが、辞める決断をした瞬間でした。

 評価されたから残れ、という論理が、
 私にはどうしても受け入れられなかった。
 約束したはずでした。
 やっぱり、そういうことが嫌いです。

 そして、ここにもう1年いる自分が、
 まったく想像できませんでした。


■ 退職は、3年早まった

 もともと、32歳での退職を考えていました。
 それが、3年ほど早まる形になりました。

 辞めることへの迷いは、
 仕事にはありませんでした。
 ただ、人のつながりとの別れには、
 葛藤がありました。

 公務員の中でも、税務職員と税理士(予定)は
 利害関係者になります。
 簡単には会えなくなる。
 お世話になった先輩、仲間、後輩たち
 ——その人たちのことを思うと、
 簡単には踏み切れませんでした。

 それでも、優先すべきことを考えた末に、
 決断しました。

 退職の日、BUMP OF CHICKENの
 「同じドアをくぐれたら」を聴きながら、
 職場を後にしました。


■ これが、「逃げるべき瞬間」だった

 #4で、こんなことを書きました。

「やりたくないこと、苦手なことから
 逃げることは、
 悪いことではありません。
 私自身にも、逃げるべき瞬間は
 確かにありました。」

 あのとき予告していた「逃げるべき瞬間」が、
 これでした。

 約束を破られた。
 もう1年いる自分が想像できない。
 その2つが重なったとき、
 逃げることは正しい選択でした。

 逃げることは、負けではありません。
 自分が動くべきタイミングを、
 自分で判断することです。


■ 皮肉にも、今につながっている

 行きたくなかった場所で評価され、
 その評価を使って転職しました。
 転職先は、税理士法人でした。

 MBAへの進学も、税理士法人という選択も、
 皮肉なことに財務省という
 1年半があったからこそでした。

 自分では描いていなかったキャリアが、
 次の扉を開いていました。


■ 打算で入った10年が、礎になった

 #3から続いてきた公務員編も、
 今回でいったん区切りです。

 正直に言うと、国税に入ったのは打算でした。
 他に選択肢が見えなかった。親がいた。
 それだけの理由でした。

 でも、その打算で入った10年間が、
 今の私をつくり、
 navilisの土台になっています。

 税務の知識、法律の理解、財務省での経験
 ——どれも、経営支援の仕事に
 直結しています。
 情熱で選んだわけではなかった道が、
 一番の礎になっていた。

 そういうことが、人生にはあるものだと
 思っています。

 次回からは、税理士法人への転職と
 そこでの生活について書いていきます。


navilis 代表 徳山侑紀

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