【私の履歴書#5】公務員編③〜高卒から大卒扱いへ。内部専科で広げたキャリアの話〜

私の履歴書

 こんにちは、navilisの徳山です。

 前回は、19歳で経験した税務調査の葛藤と、
 自分なりの「正義」を
 見つけるまでの話を書きました。

 今回はその後のキャリアの話です。
 高卒で入った国税の世界で、
 「もう一度、試験を受け直す」という
 選択をした経緯を振り返ります。


■ 国税職員の採用ルートは、3種類ある

 少し仕組みの話をさせてください。

 国税職員の採用試験には、
 大きくわけて3つのルートがあります。

 ・国税職員採用試験(高卒区分)
 ・国税専門官試験(大卒区分)
 ・総合職試験(キャリア官僚ルート)

 私が入ったのは「国税職員採用試験」、
 つまり高卒ルートです。

 高卒で入った職員が出世を目指す方法は、
 主に2つありました。
 ひとつは「本科試験」、
 高卒職員だけが受けられる内部選抜試験です。
 そしてもうひとつが、
 今回の主題である「内部専科」です。

 内部専科とは何か、一言で言えば——

 在職したまま、国税専門官試験を受け直す道。

 ここで少し補足します。
 国税専門官試験は「大卒区分」と
 呼ばれていますが、
 実際には学歴は問われません。
 受験資格は年齢によって定められており、
 条件を満たせば高卒でも受けられる試験です。

 つまり、私は高卒のまま——
 大学には行かず——
 この試験に挑んだということになります。

 合格すれば、高卒で入りながら
 大卒扱いの、あるいはそれ以上の
 キャリアラインに乗ることができます。
 ある意味、「ずるい道」です。
 私はそれを選びました。


■ きっかけは、飲み会の席だった

 正直なところ、内部専科の存在は
 知っていました。
 でも、「自分が目指すもの」とは
 思っていなかった。

 「本科でいいか」——
 そんなくらいの温度感でした。

 その認識が変わるきっかけは、
 飲み会でした。

 まあまあ偉い上司が、
 飲むたびに言い続けてくれていたんです。

 「お前、内部専科、受けてみたら?」

 半年間、ずっとそう言われていました。
 でも私は、正直なところ
 軽くあしらっていました。

 「まあ、本科でいいかな」と。

 その方自身も内部専科出身で、
 当時すでに
 めちゃくちゃスピード出世していた。
 私が買われていたのかどうか、
 今でも正直わかりません。

 ただ、飲み会のたびに
 言い続けてもらえたことで、
 ある時ふと思ったんです。

 「ここまで言ってくれているなら、
 乗っかってみようか」と。


■ 合格のためにやったこと

 問題は試験の難易度でした。

 大卒区分の試験です。
 専門的な問題も多く、
 高卒の私には正直かなり難しかった。

 まずやったのは、
 合格に必要な点数の逆算です。
 全問正解しなくていい。
 合格ラインを超えればいい。
 得意な分野に集中して、
 苦手なところは捨てる。

 受験の直前には休みをもらったり、
 酒の誘いを断ったり
 ——周りにも協力してもらえた。
 (飲み会に忙しかった私が酒を断るのは、
 それなりの決意でした。)

 試験本番、
 自分なりにやれることはやりきりました。

 この「取れる点数を計算する」という考え方、
 実は公務員試験のときから変わっていません。
 詳しくは#2に書いているので、
 よかったら読んでみてください。


■ 合格してから、人生が変わった

 合格通知を受け取ったとき、
 「やっぱり乗っかってよかった」
 と思いました。

 成功体験としての手応えは、
 想像以上に大きかった。
 学歴コンプレックスがあったわけでは
 ありません。
 でも、「大卒と同じ前提に立てた」
 という事実は、
 思っていたよりずっと
 自分を楽にしてくれました。

 その後、どこに異動しても、
 どんな場面でも、
 「内部専科出身」という話が
 スタートになる場面が増えました。
 それだけで話が通じる、関係が始まる。
 組織の中で生きやすくなった
 感覚がありました。

 そして、専科研修で出会った仲間の
 存在も大きい。
 真面目に勉強してきた大卒の人間と、
 はじめて対等に馬の合う友人ができた。
 この話は次回に譲りますが、
 その出会いが今の自分に直結しています。

 キャリアの話をすると、
 この後に財務省主税局への異動があります。
 これもまた、専科を経たからこそ
 開かれた道でした。
 この話も改めて。


■「何かを言ってもらえる環境」にいることの大切さ

 今振り返ると、
 この選択はほぼ偶発的でした。

 上司が半年間言い続けてくれなければ、
 内部専科を受けようとは
 思わなかったかもしれない。
 あしらいながらも、どこかで聞いていた。
 そして、ある日ふと動いた。

 あとから知ったことですが、
 これはクランボルツの
 「計画的偶発性理論」に近い考え方です。
 キャリアの8割は、
 予期せぬ出来事や偶然の出会いによって
 形成される——という理論です。

 私が思うのは、
 「偶然」が起きる環境を
 自分で作っておくことが大事だということ。

 誰かに声をかけてもらえる
 関係性を持っていること。
 差し伸べられた手を、
 とりあえず掴んでみること。

 高卒で入りながら「ずるい道」を選べたのは、
 そういう環境に自分を置いていたから
 だと思っています。


navilis 代表 徳山侑紀

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