【中小企業の経営】PDCAサイクルは古いのか?

中小企業の経営

 こんにちは、navilisの徳山です。

 「PDCAはもう古い」
 ——よく聞く言葉です。

 本当にそうなのか。
 中小企業を見てきた視点で
 書いてみます。


■ そもそもPDCAとは

 Plan(計画)、Do(実行)、
 Check(検証)、Action(改善)。
 この4つを順に回し続ける手法です。

 計画を立てて、実行する。
 結果を確かめて、
 うまくいかなかったところを直す。
 そして、直した内容を
 次の計画に反映させる。
 ここまでで一周です。

 大事なのは、
 一度で終わらせないことです。
 回し続けることで、
 少しずつ精度が上がっていく。
 そういう考え方です。

 もとは製造業の品質管理から
 生まれました。
 アメリカのシューハートが原型をつくり、
 1950年代にデミングが
 日本に持ち込んだ。
 戦後の日本の製造業はこれを
 徹底的に磨き上げ、
 品質で世界を取りました。

 その後、製造の現場を離れて、
 あらゆる業種の経営で
 使われるようになります。

 70年以上前のものです。


■ 古いのは、そのとおり

 だから「古い」という指摘は、
 正しいと思います。

 そもそも、なぜ古いと言われるのか。
 批判の中身は、だいたい共通しています。

 計画から始めるのが遅い、
 というものです。

 市場が変わる速さに、
 計画→実行→検証というサイクルが
 追いつかない。
 回している間に、
 前提のほうが変わってしまう。
 だから、まず動いて考えろ。
 そういう主張です。

 最近よく対比されるのが
 OODAループです。
 観察して、情勢を判断して、
 決めて、動く。
 計画を待たずに回せる。
 もともとは空中戦の
 意思決定モデルで、
 変化の速い環境に
 向いているとされています。

 言っていることは、わかります。

 そして実際、この70年で
 経営のフレームワークは
 山ほど生まれました。
 BPR、シックスシグマ、
 バランスト・スコアカード。
 どれも登場したときは
 盛り上がりました。
 本が並び、研修が組まれ、
 導入企業の事例が語られた。

 今、それを日常的に口にする
 中小企業の社長を、
 私はほとんど見ません。

 新しいものが出てくるたびに、
 PDCAは「時代遅れ」と
 言われてきました。
 それでも、残っています。


■ 淘汰されずに残った、という事実

 私はこう思っています。

 あれだけの手法が消えていった中で、
 PDCAサイクルは残った。
 そこに真理があるのではないか、と。

 理由は、単純だからだと思います。

 PDCAでやることは、4つだけです。
 計画して、やって、
 確かめて、直す。
 研修も資格も要りません。
 今日聞いて、今日から使えます。

 複雑なフレームワークは、
 そうはいきません。
 理解するのに時間がかかる。
 運用の型を覚える必要がある。
 専門家が入らないと
 回らないものもある。
 つまり、導入すること自体が
 仕事になってしまう。

 もちろん、完璧に運用できれば
 効果は上がるのかもしれません。
 でも中小企業の現場で、
 完璧に運用できることはまずない。
 社長は現場に出ていますし、
 人も時間も足りない。

 そして一番まずいのは、
 不完全なまま
 「やっているつもり」に
 なることです。

 形だけ導入して、
 埋めるべき欄を埋めて、
 それで経営を見た気になる。
 でも実際には、
 何も決まっていないし、
 何も変わっていない。
 しばらくすると
 「あの手法は効果がなかった」と
 なって、また次の新しいものを
 探しに行く。

 私が見てきた限り、
 フレームワークを次々と
 乗り換えている会社が、
 実は何も動いていない。
 そんなこともよくあります。

 単純だから、続く。
 続くから、残った。


■ それでも、PDCAは回らない

 ここまで書いておいて何ですが、
 中小企業の現場で
 PDCAが回っていることは、
 あまり見かけません。

 単純なのに、なぜか。

 単純なのは構造であって、
 中身ではないからです。

 PとDは、誰でもできます。
 計画を立てて、やる。
 やる気のある会社で
 ここで止まる会社はありません。

 止まるのは、Cと、
 A→Pのつなぎ目です。

 Cが難しい理由は、
 はっきりしています。
 検証する術を持っていない。
 時間もない。
 数字の読み方も詳しくない。

 結果、頭の中で
 「まあ、こんなものか」と
 処理されて終わります。
 何も残らない。

 もうひとつ、Cには壁があります。
 客観的な視点がないと、
 そもそも原因を特定できない
 ということです。

 うまくいかなかったことは、
 わかる。
 でも、なぜかがわからない。
 自分の会社を、
 自分で外から見ることはできません。

 そしてA→P。
 ここは、技術の問題です。

 原因がわかっても、
 それを打ち手に変えて、
 次の計画に落とし込むのは
 別の作業になります。
 反省だけで終わってしまうのは、
 そのためです。

 CもA→Pも、
 自分たちだけで埋めるのは難しい。
 だからここに、
 外から人が入る意味があります。
 その話は、また別の回で書きます。


■ 今日からできること

 ふたつあります。

 ひとつは、紙に書き出すこと。

 頭の中で終わるのは、
 書いていないからです。
 書けば、去年の自分と比べられる。
 それだけでCは半分成立します。

 もうひとつは、
 数字の読み方を人に聞くこと。

 顧問税理士がいるなら、
 聞きまくればいい。
 会社のことを本気で考えている
 税理士なら、
 きちんと教えてくれるはずです。
 聞ける相手がいなければ、
 AIを頼っても構いません。
 今はそれでも
 ある程度の答え返ってきます。


 PDCAは古いのか。

 古いです。
 でも、古いから使えるんだと
 思っています。

 70年残ったものには、
 それだけの理由があります。


navilis 代表 徳山侑紀

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